ぼちぼち、ポタポタと乗ってます

エタップ・デュ・ツール参戦記2006~ガップ⇒イゾアール峠~

スタートして暫くはゆっくりと周りの雰囲気を見ながら走ろうと思っていたのですが、何か脚が重たいです。AV.25~30km/hくらいで走るつもりでいたのですが、メーターを見ると22km/h。ちょっと不安なスタートで気分がやや下降気味です。
 
さらに不安というか最悪の事態が!朝の準備の時から右のクリートがペダルに入りにくかったのですが、完全に入らなくなってしまいました。スタートしてわずか数キロです。この時はさすがに焦りました。右の引き足が使えない状態です。50kmほど先から始まる山岳コースを前に引き足が使えないのはショックでした。
 
当初は最初のエイドステーションがある57km地点まではフラットだと思っていたのですが、やはりそれほど甘くはなく、小さなアップダウンを繰り返します。20~30km地点くらいまで走ると、脚の具合も普段と変わらない状態になってきて、少し余裕も出て来ました。
 

とにかく天気がサイコーです。“雲ひとつない青空”とはこの日のような天気を言うのでしょう。また沿道にも大勢の応援の方達がおり、皆何やら叫んで応援してくれてます。

「アレ~!、アレ~!、アレ~!」と聞こえます。大勢の方が大声で応援してくれます。気分良いです。ツールの選手になった気分です。
 
 30km地点くらいで右手に綺麗な湖が見えてきました。本日最初の大感動。キレイです。しかも前方に湖を渡る橋が見え、長蛇の列になって選手が渡っているのが見えます。そしてその列は途切れることなく私を含め、更に後ろへと続いています。しかし、こんな感動がこの後何回もあるとはこの時は想像も出来ませんでした。
 

橋を渡り、市街地を抜けた辺りから、エイドステーションのある57km地点までダラダラと登りが始まりました。しかしまだまだ序の口、こんなのは登っているうちには入りません。

相変わらず、湖の向こうに遠く見えていた山々が段々と近づいてきており、気がつけばそろそろ50km。エイドステーションまであと少しかな。

時間は良く覚えてませんが、9時過ぎくらいだったんでしょうか?朝から日差しはきつく、そろそろエイドステーションが恋しい頃です。まだかな?と思っていた時、前方で皆止まってます。??多分エイドステーションなのだろうとは思いましたが前方が見えないくらい渋滞しており、何が起っているのか分かりません。結局は単なる自然渋滞だったのですが、渋滞が起るだけ人が多いということですね。
 

しかし、またこのエイドステーションが凄いです。人、人、人、そしてゴミ、ゴミ、ゴミ。足下にはもの凄い数のペットボトルが落ちてます。足の踏み場のないくらいというのはこの状態を言うのでしょうね。気にせずに踏みまくりましたが。(笑)

エイドステーションは人が多すぎて何があるのか良く分かりません。ゼリーみたいなお菓子?やら、クッキ-みたいなものがあったような・・・結局は無難にバナナとオレンジをゲット!それと水を補給。あとは日本から持参のスティック羊羹。
 
ここでMAVICのサポートカーを発見。エタップではMAVICがサポートしてくれており、工具などを貸してもらえたり、簡単な調整もしてもらえます。シマノのサポートカーなら良かったのですが、多分ダメと思いながらも一応ゼスチャー交じりの英語でクリートの不備を訴えてみました。するとMAVICのお姉さんがいきなり「Can you speak English?」と聞いてきたので、自信タップリに「No!」(No!と言える日本人です。。。)するとMAVICのお姉さん、いきなりフランス語で喋りだしました。さっぱり分かりません。仕方がないのでニコニコ笑顔で「メルシー」と応えてその場を逃げるように去りました。
 

気を取り直して、再出発です。緩斜面をしばらく登ると道は一旦下りだします。もう完全に山の中です。そしてこの辺りの景色がまた美しいです。石灰岩で出来た小さなトンネル(石灰岩の固まりが侵食して出来た?)がいくつも連なり、道の端は石を積み上げて作ったようなガードレール?左手には山が迫ってきており、日本では絶対に見れない風景でしょうね。

マジな話ですが、この景色を見た瞬間に感激で涙が出てきました。そして“エタップにエントリーして良かったなぁ~”と思った瞬間でもありました。(写真を撮ろうと思ったのですが、下りで止まると危険だったのと、感激に浸っていたいという思いもあり撮りませんでした。)
 
その後はいかにもアルプスらしい風景が広がり、またまた感動しながら走ってました。途中小さな村?を通過します。一度途切れていた沿道の応援が復活です。音楽を鳴らして踊りながら応援してくれたりして、応援する人達もエタップを楽しんでいるようです。そしてこの村を過ぎたあたりからいよいよ本格的な登りです。カテゴリー超級山岳に挑戦です。

平均7.0%ということですが、最初から10%は越えているのでは?と思うような斜面です。ここまでで約70km走っており、時間も11時前です。日差しもかなり強く、その影響か思っていた以上にキツく感じます。トイレ休憩も兼ね小休止。(トイレはもちろん。。。アルプスを見ながらは気持ち良いです。・・・笑)
 
小休止の後もペースは上がらず大幅ペースダウンです。メーターで10km/hを切りこともしばしば。景色は相変わらず素晴らしいです。周りを見ながら気を紛らわします。つづら折りを繰り返しながら登って行くと、先程走っていた道が下に見えます。まだまだ大勢の人が走ってます。改めて参加者の多さを実感します。沿道では木陰で休憩したり、湧き水を求めて順番待ちする選手達も多く見るようになってきました。
 

サイコンの距離と周りの景色を交互に見ながら登って行きます。結構脚に乳酸が溜まってきたなぁ~と感じた頃、赤い看板が表れ、峠まで後5kmと書いてあります。(残り5kmになると1km毎に看板があります。)
 

残りの距離が分かり、安心したのでここで2度目の小休止です。
改めて周りの景色を見ると、確かに凄いですね。エタップのコース紹介に書かれてましたが、“草木が一本もない瓦礫まみれの荒涼たる峠”まさにそんな感じの風景ですね。


残り5kmを踏ん張って登りイゾアール峠(標高2360m)に到着。ここでは水の補給が可能ということだったのですが、私が峠に着いた時には既にあたり一面ペットボトルのゴミだらけで水は残っていませんでした。また、先程とは別のMAVICのサポートカーが止まっていたので、再度挑戦してみます。前回と同じく身振り手振りで説明すると、首を横に振られてしまいました。もうこれで完全に諦めがつきました。けどイゾアール峠、思っていた以上に苦しかったのはクリートの影響もあったと思います。右の引き足が使えなかった訳ですから。